2008年12月30日火曜日

熊井さんの事




先週の日曜日、前々からお約束をし、楽しみにしていた彫刻家・熊井和彦さんのご自宅をお訪ねしました。同行者は森貴義君。彼の作っているガラクトーイが、彫刻家の熊井さんの目にはどう映るのか、それをお尋ねするのが目的のひとつです。約束の昼過ぎに、久留米近くの私鉄の駅までお出迎え下さり、まず石の彫刻をなさっているという広川のアトリエまでお連れ下さいました。アトリエとは云っても、石材屋さんの一隅に間借りをし、そこで制作に励んでおられる由。晴れた日には普賢岳が見えるとおっしゃる、小高い丘の上に位置するのどかな所です。そのアトリエでのお話しの中で印象的だったのは、熊井さん御自身が形を求める人であるにも関わらず、素材としての何もしない状態の石材の美しさを語られた事です。ご自分の仕事に対して、誠実で正直な人だと思いました。
実は、熊井和彦さんは川島玲未さんのおじさんに当たる方で、初めて出会ったのも川島さんの催事の時です。何をどう話したのか今は思い出せませんが、玲未さんそっちのけで話に花が咲き(玲未さんごめんなさい)、私の好きなイタリア・ミラノに30数年もお住まいであった事や、福岡のみならず日本でも有名な彫刻家・豊福知徳氏のお弟子であられた事。「居合い」の達人でもあり、イタリアにお弟子が大勢いらっしゃる事、等々。
さてご自宅は町中でありながら、敷地が200坪程もある大きな和風のお家です。かつてお住まいだったもっと繁華な町中のお家の一部を移築したとおっしゃる御茶用の炉を切ったお座敷があったり、その隣にお茶室がしつらえられて有ったりととても立派なお住まいです。
ご家族はミラノにお住まいで、ご自身は住まいの一番奥、台所隣の食堂兼居間と隣りの畳敷きのお部屋で、一人で暮らしていらっしゃるのだそうです。テーブルに座ると、まず煮物が2種出て来ました。牛肉と牛蒡を炊き合わせたものと、人参・里芋とさつま揚げを炊いた一品です。失礼ながら、まず美味しいので驚きました。それからいろいろ話に花が咲き、かつての愛車がアルファロメオのジュリエッタであったとか、今ご愛用のチェロがガダニーニ(だったか?)の弟子の制作したものであるらしいとか(中にそう書いた書き付けが張ってあるとの事ですが、なにせイタリアですからね)。でも自分の仕事の事をどう上手く言いくるめられたとしても、私だったらジュリエッタに乗っていたと聞かされるだけでその人の仕事を信用してしまうでしょうね。
閑話休題。さて、肝心の森君のガラクトーイについても色々お話を伺う事が出来ました。しかし今はここには書きますまい。話がはずみ、お酒もすすんで帰りは夜の9時過ぎになっていました。

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