2016年3月21日月曜日

忘れられないもの 12 編組品六種 その2

福岡書芸院発行の冊子「たんえん」3月号掲載の記事、「 忘れられないもの 12  編組品六種 その2」をお届けします。

編組品六種

今回は先月に引き続き、編組品六種紹介の2回目として残りの三種をご紹介します。初めは、20年前に佐賀県武雄の籠屋で買った片口箕(かたくちみ)(縦70㎝ 横80㎝)です。農作業には欠かせない道具として、弥生時代以来の古い歴史を持つ農具です。ゴザ目編みにした樹皮(桜)と竹を、構造材と持ち手を兼ねて大きく撓(たわ)められた木の枝に、蔓でしっかりと留め付けて作られています。他に、木の薄板同士を蔓で箕の形に留めあわせたものや、韓国のもので杞柳に蔓を合わせたもの、また綯(な)ったわら縄で造形したもの等を見た事があります。北海道のアイヌの人達が使っていた「ムイ」と呼ばれるカツラやセンノキ等柔らかい木を刳り貫いて作られたものや、東北地方で「カバ箕」と呼ばれるヤマザクラの樹皮を使ったものがある(赤坂憲雄著「東西/南北考」)、との記述も見られます。


次は25年前に出掛けた、タイ北部の古都•チェンマイのスポーツ用品店で手に入れたセパタクロー(東南アジア一帯で盛んな、足を使うバレーボールに似た球技)に使用する、籐で作られたボール(径12㎝)です。仮に、このボールの上に人が乗ってもつぶれる事はなさそうな位、見るからにしっかり作られています。後に、セパタクローがアジア大会の公式競技に採用された際、TVで試合の模様を見る機会がありましたが、その時は、ボールそのものが黄色のプラスティック素材に様変わりしていました。競技に必要な程の材料が確保出来ない為か、もしくは、素材のばらつきをなくし競技に公正を期す、とでも云った理由なのでしょうか、いずれにしても、残念な事です。


最後は、前回のパシキン同様、2006年秋の「山本まつよ蒐集によるフィリピンの手仕事展」に出陳されたフィリピンの竹と籐を合わせて造形された円筒形の蓋付籠(径30㎝高さ33㎝)です。興味深いのは、筒状になっている身の部分の底をまず六角形で編み始め、上を丸形で納めて、最後は蓋の納まりと強度を考えて、竹をしっかり留め付けてある事で、道具としての籠自体の強度を上げる為の長い経験からたどり着いた工夫なのでしょう、頭が下がります。本体と蓋、そして籠の底にも漆(湿気や匂いあるいは室内で焚く煙防止でしょうか)がまんべんなく塗り籠められています。

2016年3月14日月曜日

 築窯40周年記念
「第6回 柴田雅章作陶展」のお知らせ


初日までには未だ少し間があるのですが、6回目になる「柴田雅章作陶展」のご案内です。今回は築窯40周年記念として福岡展終了後、初めて八女会場の「朝日屋酒店」に巡回いたします。会期は、福岡展が4月9日(土)から17日(日)の午前11時から午後7時迄で会期中は無休。また、八女展は4月23日(土)から5月5日(木)の午前10時から午後8時迄で、会期中の4月24日と5月1日の日曜日は休みです。初日9日の午後7時頃から作者を囲んで、一品持ち寄りのオープニングパーティーを開催。作り手と間近で話が出来る貴重な機会です。どうぞふるってご参加下さい。
お申し込みお問い合わせはあまねや工藝店、電話 092-526-0662かE-mail amaneya◎(アットマーク)gmail.comまで。作者在廊日は9日と10日(予定)です。以下は案内状の文章原稿です。

1989年の「第1回展」以来、おおよそ7年に一度のペース(ここ数回は隔年)で開催してきて、今回で6回目の個展になります。
昨年から今年に掛けてが、柴田雅章さんの築窯40周年の記念の年で、昨年9月に大阪•梅田の阪急デパート美術画廊で盛大な展観とお祝いの会が催され、たくさんの人で賑わいました。
参加者の年齢•職業も様々で、いわゆる著名士や偉い人(と呼ばれている人)達が見当たらない(もっとも私が知らないだけで、いらしたのかも知れませんが)のも、柴田さんらしく爽やかでした。
会場の美術画廊には、新作とともに、身の廻りに在って、日々この仁(ひと)の「喜びの種」となっているに違いない品々(イギリスのウィンザーチェアの祖型を思わせる大振りな椅子や、アフリカ•ピグミー族のタパなど)が飾られてあり、この作り手の生活信条とも言うべき河井寛次郎の言葉「暮らしが仕事 仕事が暮らし」が、見ている私達にもまっすぐ伝わって来る様な素敵な会でした。今展にどの様な作品が送られて来るのか楽しみです。皆様どうぞお出掛け下さい。